PCR が追い求めるもの。 

 路面を素足で捉えるような接地感。俊敏かつ、安定したステアリングレスポンスと確実にコントロールできるトラクションフィーリング。さらに、しなやかで強靱な走破性。いずれもショックアブソーバーに求められる必要条件であり必須条件であると私たちは考えます。ドライバーの理想とクルマの運動をいかにシンクロさせるか。その可能性の追求。ショックアブソーバーメーカーである私たち、PCRが打ち出す概念です。

PCRが大量生産しない理由はその製法にあります。
いわば、私たちのモノ創りへのこだわりです。

私たちはショックアブソーバーを人の手によって組み立てています。人の手による組立が一番確実だと考えるからです。精度が要求される部品は、CAD-CAMシステムとコンピューター制御のNC工作機を駆使し、すべて無垢材料から削りだされ、溶接部分には職人による均一でムラのない溶接を施します。細部にわたるモノ創りへのこだわりが、高精度と美しさを併せ持つハイレベルなショックアブソーバーとして結集しました。乗り手に合わせたきめ細かなフルオーダーセッティングはユーザーとの綿密な話し合いを元にPCRの理論と経験によって一本ずつ丁寧に生み出され、いわゆる、「型」によって大量生産される製品とは違い、ユーザーの要求するセッティングを決めてからの製作なので、すべての製品が注文生産となります。各車種ごとの性格にあわせた専用設計はもちろん、乗り手の用途、好みに合わせたスプリングと減衰力仕様を設定する方法はPCRがサポートするモータースポーツ用となんら変わりはありません。PCRはフルオーダーセッティングをすることで常にユーザーを最優先し、自ら高性能を唱うのではなく、ユーザーにとっての高性能を一緒に創り上げたいと考えています。

メンテナンス前提の選択。

 PCRショックアブソーバーは単筒分離加圧式を採用しています。複筒一体加圧式に比べてピストン径が大きくとれるため、より高性能化することができ、また、フリーピストンによってオイル室とガス室が二分されるため、激しい走行によってオイルとガスが混ざることなく安定した減衰力を維持できるからです。また、長期間にわたり性能を維持するためには完璧なオーバーホールの必要性があると考える私たちは、敢えて大量生産には向かない、完全分解組立の単筒分離加圧式を選択しました。

高剛性、高精度。PCRシェルケース。

ショックアブソーバーの骨格となるシェルケース本体は超軽量、しかも高剛性を保つ硬質アルマイト処理アルミシェルケースと、圧倒的な耐久性、熱膨張による変形精度が少ないJAF公認レースに対応した鍛造クロームモリブデンシェルケースの2タイプを用意、さらに、戦闘機やF1マシンに多用される耐摩耗性、耐腐食性に優れた超硬質ジュラルミン表面処理加工(TUF-P処理※)をしたアルミシェルケースを新たにラインアップ。安定した応力を発生するスプリングや減衰力のフルオーダーシステムと合わせて、乗り手のスポーツドライビングをよりアグレッシブにさせます。

※TUF-P処理・・・F1やF3などに使用される部品にも必ず施してある処理です。これはアルミシェルケース専用の処理であり、バネ下荷重の軽量化・放熱性の良さなどアルミ素材の良い点を損なう事無く、耐摩耗・耐打痕など全ての耐久性に優れた処理です。

車高調整のための基本部品です。

その機能性から徐々に普及してきたAJ(アジャスタブル)カップ。PCRはショックアブソーバー開発当初から積極的に採用してきました。
PCRは車両荷重、用途、ドライバーの好みからスプリング定数を決定し、それを基準にしてショックアブソーバーの減衰力設定をするという一貫した方向性を持っています。従って、ストローク量とスプリングの応力までもが変化する、スプリングの伸縮を利用した車高調整は行わないためにショックアブソーバー下部にAJカップを装着しています。無垢材から削り出されるPCRのAJカップは、高い剛性と機能性を兼ね備え、その美しいフォルムでメンテナンス時のルックスをも向上させます。

最小のクリアランス、最大の信頼性。

 アッパーマウント中心部にはPCRが独自に開発した、L.M.B.(Liveral Movement Ball)をすべての車種に採用。L.M.B.はクリアランスを最小限に抑え、さらにそれを包み込むケースによって1000分の1mm単位で内圧し、将来予想されるボールのがたつきを防止します。また、貫通方向に対して横荷重にのみであった従来のピロボールタイプに比べて、縦荷重についても耐荷重性を持たせ、軸受けとしての性能と信頼を飛躍的に進化させました。